物理とTeXに関する話題

TeXを利用した教材作成や、高校物理、受験全般についてのブログです。

2016年 東京大学 問題分析・解答への道筋

2016年の東大入試が終わりました。今年度の物理の問題について,感じたことを書いていきたいと思います。国立大学,私立大学の分析も順次掲載していく予定です。

全体の所感

昨年度までと比較して,答える値の数が飛躍的に上昇しました。近年で比較すると以下の通りです。

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第3問の波動での解答数が過去と比較しても非常に多く,全体としても過去最大の解答数でした。1つ1つの問題も計算量が多く,状況を素早く把握する力,計算処理能力が得点を大きく左右したと考えられます。解答をシンプルに仕上げる力も必要です。

問題の内容の難易度としては,それほど難しいものはありませんでした。昨年度並と言えるでしょう。とはいえ,問題量の増加に伴う時間の不足から,難易度の上昇を強く感じた受験生は多かったはずです。

数年前までは問題量が少なく,限られた条件の中から状況を正しく判断するという思考力を問われる傾向にありましたが,今年は問題数が多い代わりに誘導が丁寧であり,素直に立式すればそこまで思考力も必要とせず,数学的な処理能力を問われるという傾向が強く感じられました。

以上の点から,十分な時間をかけないと高得点を取るのは難しいセットだといえます。物化選択の受験生は「物理をいかに素早く終わらせて化学に時間をまわせるか」という対策をしてきたと思いますが,今年は物理だけで75分かけても良いといえる分量です。

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