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物理とTeXに関する話題

TeXを利用した教材作成や、高校物理、受験全般についてのブログです。

tcolorboxを利用した表作成

TeXにおける表作成

TeX組版において,表を作成する場合はtabular環境を利用するのが一般的です。tabular環境を用いると,以下の通りに表を作成することができます。

\begin{tabular}{lccc}
  \hline
  状態変化 & $Q^{in}$ & $\varDelta U$ & $W^{out}$ \\
  \hline \hline
  定積変化 & $nC_V\varDelta T$ & $nC_V\varDelta T$ & 0 \\
  定圧変化 & $nC_P\varDelta T$ & $nC_V\varDelta T$ & $nR\varDelta T$ \\
  等温変化 & $nRT\log\frac{V_1}{V_0}$ & 0 & $nRT\log\frac{V_1}{V_0}$ \\
  断熱変化 & 0 & $nC_V\varDelta T$ & $-nC_V\varDelta T$ \\
  \hline
\end{tabular}

f:id:hkf-164:20160821221147p:plain

しかし tabular 環境を用いた表作成には,斜線を引くだけでも大変,セルを色塗りするのが大変,といったような不便な点があります。これらを解消すべく, tcolorbox の raster library を用いて表の作成を試みました。

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2016年 東京医科歯科大学 問題分析・解答への道筋

東京医科歯科大学

全体の所感

2016年は,力学(惑星運動)と電磁気学(直流回路,ダイオード)からの出題でした。例年通り,前半部分は基本事項を問われており,後半は計算力と思考力を問われる問題が出題されています。今年度の医学科問題(力学の問9,10,電磁気学の問8,問9)は,知識を要する問題も含まれており,例年より難易度の高い出題であると感じられました。また,惑星運動の問題は2年連続での出題でしたが,昨年度の惑星運動の問題に比べて共通問題も難易度の上昇が見られました。

医学部受験生にとっては問題数が多く,時間内に全ての問題を完答するのは厳しかったように感じられます。特に2016年は上でも述べたとおり,医学部問題の難易度が高かったため,これらの問題が解けなくても大きな差は付かなかったでしょう。共通問題をいかに正確に解き切れるかが大切です。

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2016年 東京大学 問題分析・解答への道筋

東京大学

2016年の東大入試が終わりました。今年度の物理の問題について,感じたことを書いていきたいと思います。国立大学,私立大学の分析も順次掲載していく予定です。

全体の所感

昨年度までと比較して,答える値の数が飛躍的に上昇しました。近年で比較すると以下の通りです。

f:id:hkf-164:20160228223100p:plain

f:id:hkf-164:20160228223110p:plain

第3問の波動での解答数が過去と比較しても非常に多く,全体としても過去最大の解答数でした。1つ1つの問題も計算量が多く,状況を素早く把握する力,計算処理能力が得点を大きく左右したと考えられます。解答をシンプルに仕上げる力も必要です。

問題の内容の難易度としては,それほど難しいものはありませんでした。昨年度並と言えるでしょう。とはいえ,問題量の増加に伴う時間の不足から,難易度の上昇を強く感じた受験生は多かったはずです。

数年前までは問題量が少なく,限られた条件の中から状況を正しく判断するという思考力を問われる傾向にありましたが,今年は問題数が多い代わりに誘導が丁寧であり,素直に立式すればそこまで思考力も必要とせず,数学的な処理能力を問われるという傾向が強く感じられました。

以上の点から,十分な時間をかけないと高得点を取るのは難しいセットだといえます。物化選択の受験生は「物理をいかに素早く終わらせて化学に時間をまわせるか」という対策をしてきたと思いますが,今年は物理だけで75分かけても良いといえる分量です。

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2015年度 センター試験 物理基礎

センター試験

問題の概観

2年目のセンター物理基礎の問題は,熱力学からの出題がないという衝撃的な内容でしたが,どの設問も基本的な内容だったという印象です。大問の構成は,

  • 第1問:小問集合
  • 第2問:波動・電磁気学
  • 第3問:力学

であり,昨年度と同様でした。今後もこの傾向が続くものと考えられます。

また,力学は13問中6問を占めており,その比重が多いと言えるでしょう。とはいえ,基本的な出題ばかりでしたので,しっかりと基本事項の対策ができていれば満点も目指せたのではないかと思います。

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tcolorboxの基本

TeX

この記事は TeX & LaTeX Advent Calendar 2015 の17日目の記事です。 16日目はdoraTeXさんでした。 18日目はVoDさんとなっています。

この記事中の画像は全てdoraTeXさん開発の TeX2img で作成しています。

TeXで枠囲みを作成するパッケージ

TeXユーザーの集い2015では,tcolorbox パッケージを利用した枠囲みの作成について紹介しましたが,それ以外にも枠囲みの作成を可能にする様々なパッケージがあります。

  • ページまたぎが可能な枠
    • tcolorbox:TikZ を用いてデザインを自由に作れる。
    • mdframed:枠の作成に TikZ を利用することができる。
    • itembkbx:emath が提供する。ページまたぎ可能な枠を作成。
  • ページまたぎができない枠
    • itembbox:ascmac が提供する。
    • niceframe:装飾付きの枠を作成。

tcolorboxの基本的な使い方

上で挙げたパッケージの内,option の数が最も多く,TikZ を自由に使える tcolorbox について,TeXユーザーの集い2015で発表しました。 マニュアルを読むのが最も確実な利用法習得の方法ですが,400ページを超える英語のマニュアルであるため,読む気があまりせず,読んでみてもなかなか内容が頭に入らないのが実際です(2周くらいするとスムーズに理解できます…笑)。 そこで今回の記事では,tcolorbox の基本的な利用方法について紹介したいと思います。

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東大物理問題集(鉄緑会物理科編)

物理

執筆・編集に携わっていた東大物理問題集が完成し,手元に届きました!

ほぼ何もない状態から編集を初めて,各大問に関する深い考察,参考問題を考えたり,デザインを作成したり,ミスをチェックしたりと,長い道のりだっただけに,完成したときの感慨深さも非常に大きなものです。

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鉄緑会物理科講師全員で作り上げた,鉄緑会物理科の集大成ともいえる問題集です。内容の充実はもちろんのこと,見やすさを考えたデザイン(解説資料はtcolorboxのオンパレードです。見出し部に小さく \tcbox も使われています。)など細部に渡り完成度の高い一冊となっています。

これから東大物理の過去問演習を始めるという受験生の皆さんも,すでに一通り過去問を解き終えたけどもう一度復習のために解きたいという受験生の皆さんも,ぜひご一読を…!

 

発売は11/18(水)です。

なぜtcolorboxか

TeX

講演の際にも述べたように,本来やりたかったのは「複数種類の枠を自分で作る」ことと,「生徒用書き込みスペースのための線引き,装飾,スペース確保(行取り?)」の2つです。tcolorboxはこれらの要件を満たしてくれたわけですが,この2点だけを考えるのであればおそらくmdframedでも実現できるはず。

単純にtcolorboxの良さを述べるのであれば,"できること"が多いという点でしょう。利用できるoptionsの数はmdframedよりもはるかに多いですし,mdframedにはtcboxに対応するものがありません。xparseパッケージを利用した新たなbox定義についても,tcolorboxの方が優れています。boxを並べてその高さをそろえる(raster library や equal height group)こともmdframedではできません。

mdframedについては詳しく知らないので(さっそくマニュアル流し読みはしました。46ページ。2周ならすぐできそう),今後はマニュアルを読みながら「なぜtcolorboxなのか」を自分なりに考えていくつもりです。

 

tcolorboxとmdframed以外のbox系パッケージでTikZを利用できるものを知らないので,主にこの2つを考えることになりそうですが,それ以外にもbox系のパッケージで優れたものがあればコメントいただけると幸いです。